うーむ、眉唾ものなのですが、またしてもタイトルが気になって読んでしまいました。
相変わらずの副島節です。後で恥をかくかもしれませんよ、と注意したくなるほど、将来の予想についてきっぱりと断言しまくっています。
ただ、世界の人脈を絡めた経済予測の手法は、非常に興味深く、また、一見些細と思える様な事柄にまでよくよく知っているものだと驚かされます。
出版社は、副島氏の予想が常に的中しているように宣伝しておりますが、やや誇大広告気味と言えましょうか。
その副島氏自ら「予言」と読んでいる未来予測には、外していることもありますし、待っていればそのうち当たる、といった内容も含むためです。
それでも、副島氏の著書の中には、玉石混淆した情報がありますので、後は読者自身の知恵と知識を加えれば、例えばこの投資は大丈夫か?といった判断力が上がるかもしれません。
さて、副島氏は、出し惜しみしない書き方が得意ですが、前書きの段階で既に「もうすぐ潰れる」ヨーロッパの銀行リストを明記しています。あくまで「もうすぐ」ですので、いつのことかは起きてみないと分からない、というところがミソです。
当たる外れる、あるいは情報の正確さは別として、副島氏の物の言い方は混迷の時代に人を惹き付ける力強さがあります。
このような時代には、物事を明確に表現する、あるいは断言する者の言葉に、人はついつい耳を傾けてしまうのかもしれません。それは皆、迷っているからです。断言して欲しいからです。
1章では、ヨーロッパで倒産する銀行を予想し、2012年が世界恐慌の始まりになると断言します。また、デフレとインフレの合体型不況について述べています。
1ドルも70割れすることを断言していますが、この辺りは私にも予想できているところです。その理由は副島氏とは異なりますが…。
2章ではユーロ危機が実は米国をも巻き込んでしまうと言うその仕組みについて説明します。
そこでは、今話題のCDSの仕組みを解説し、その賭博性がいかに恐ろしい金融商品であるかを説明します。
ちなみに、少し前に安住財務相が、CDSを知らなかったというニュースを読み、ショックを受けました。民主党の閣僚は、どうしてこうも勉強不足の人ばかりなのだろう、と呆れた者です。一般人が知らないのは普通ですが。
CDSについては、別のブログで簡単に説明していますので、よろしければ参照ください。以下の記事の中頃でCDSについて説明しています。
『EUは銀行の自己資本比率増強で金融危機を封じ込められるのか』(2011/10/27)
http://newsyomaneba.seesaa.net/article/232316019.html
上記の投稿記事で、私はCDSのことを「賭博」と表現していましたが、副島氏も本書で、同様に表現されております。
3章では欧州債務危機にCDSを始めとする核爆弾なみの仕掛けが施されており、その破壊力について紹介しています。
そして4章では、本書のタイトルである「金・ドル体制」がどのように終焉を迎え、その結果、世界にどのような影響を与えるのかについて述べます。
5章では、いよいよ恐慌をきっかけとして、世界で「統制経済」が始まる経緯について予告しています。
その中で、日本で何故増税が叫ばれているのか、TPPが何故推進されているのかについてもその背景を説明しています。
全体を通して、非常にスリリングな内容になっていますが、要するに良いことは起きない、という結論です。
ただし、読者は資産を守るべく手を打つべきだ、そして副島氏は、国家権力に刃向かってでも、真実を述べ続ける、と声を荒げるように表明して終わります。
ややエンターテインメント性が高い読み物なので面白いのですが、その信憑性については、より多くの情報を吟味して、読者自身が判断せねばならない、という課題を残す本です。
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