あからさま過ぎるのですが、本書はダン・ブラウンの新作『インフェルノ』を、より一層面白く読みたいと思って購入した本です。
そういう意味では、ダン・ブラウンの人気に便乗して本書を出した株式会社KADOKAWAの思惑に100%引っかかった私です。
勿論、私は私で、出版社の商売の思惑を分かっていて本書を購入したわけですが。
何しろ私はダン・ブラウンのファンですが、今度の新作が取り上げたダンテの『神曲』については、全く知識がありません。もう、恥ずかしいを通り越して開き直っているくらいです。
しかし、『インフェルノ』をどうせ読むなら、少しでも『神曲』の予備知識があった方がいいに違いないと思って、敢えて自ら出版社の浅はかすぎる商法に騙されてみました。
結果、読んでおいて良かったかどうかは、この後に読む『インフェルノ』を読み終えるまではわかりません。
ただ、ゼロだった『神曲』に関する知識が僅かですが増やせたことは私的には収穫でした。
とはいえ、本書の著者がいかに大急ぎでかき上げたかは後書きでも分かりますが、内容もそれほど深くはありません。
しかしそれが返って無知だった私には丁度良かったようにも感じます。元も子もない言い方ですが、別にイタリア文学を極めようなどとは思っていませんし、『神曲』を正しく理解しようとも深く味わおうとも思っていないからです。
あくまでダン・ブラウンの冒険小説を面白く読むことが目的ですから、本書の軽さは丁度良かったと思います。
大急ぎで『神曲』ってどんなものか知っておきたい、という人には丁度良い軽い解説書であると思いますが、真面目に『神曲』を味わいたい人にはお勧めできません。