2014年02月14日

『書いて生きていく プロ文章論』上阪 徹



特に著名人へのインタビューを中心としたライティングを得意とする上阪氏が、プロの物書きが実践している文章術と、プロとしての心得について語り尽くした本です。

上阪氏の代表作は40万部を突破した『プロ論。』(徳間書店)ですが、実はゴーストライターとして数多くの著名人の本を手がけているため、執筆したベストセラー(10万部超え)作品は数知れずということだそうです。

圧巻なのは、これまで取材した著名人は3,000人と言いますから、上阪氏に取材されたことがないと、著名人ではない、くらいのブランドがあります。

その上阪氏が文章術について執筆して欲しいと頼まれたのですが、彼は考えた結果、自分にあるのは『技術論』ではなく『プロとしての心得』だ、ということで本書を執筆したそうです。

確かに全体と通して、プロの物書きという以上に、プロの仕事人とはどう有るべきか、というテーマが満載で、非常に充実した内容になっています。

勿論、取材のノウハウや記事を効率良くまとめていくためのノウハウも惜しげも無く書かれており、この辺りに氏のプロとしての自信がうかがわれます。

すなわち、ノウハウを明らかにしたところで、ライバルは増えないだろうと。

特にプロとしての心得については、当たり前で有るにもかかわらずライター業界の人達が守れていないことが、驚きを持って書かれています。

この心得を読むことは、必ずしもライター志望者だけでなく、一般の社会人にとっても得るものが大きいと思えます。

また、氏はフリーライターの社会的地位が低く見られていることを憂えており、自分がライターの社会的地位を向上させるのだ、という使命感を持っていることが行間ににじみ出ていました。

本書はタイトルで「プロ」と書かれていますが、趣味で文章を書いている人や、仕事上で文書作成が必要とされる社会人一般の人にとっても、得ることが大きい本だと思います。

また、常に読者を意識して書いているというだけあり、非常に読みやすい文章で、一度に読める量も少なめに分割された構成となっています。そのため318ページという厚めの本ではありますが、細切れの空き時間で読めるように作られています。

自分でも本を出したり、ブログを書いたりしていますが、改めて大変勉強になった本です。

ということで、早速、上阪氏の別の本も買ってしまいました。これから読み始めます。


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2014年02月06日

『歴史をつかむ技法』山本 博文



歴史的思考力とは何か、ということを、具体的な歴史考証の手法を例に説明している本です。

著者は、私たちが授業で受けてきた歴史を否定はしませんが、「歴史知識」を覚えるだけでは「歴史的思考力」つまり歴史を把握する「技法」が身につかないと主張します。

本書では、日本の歴史を、著者みずから歴史を考証する技法を紹介しながら逐一解説していきます。

著者は東京大学史料編纂所教授という肩書き通り、現在、何気なく教えられている歴史が、如何に史料(資料)を緻密に照らし合わせてたどり着いた学説に基づいているのか、ということを説明します。

その考証の積み重ねは、正直読んでいてうんざりしてしまいます。

しかし、学者達の根気有る調査と考証が現在の主流となっている学説を打ち立ててきたことを改めて知ることで、歴史学の重みが分かります。

ぽっと出の、奇をてらった学説の方が面白いのですが、本書を読むと、一見退屈な定説の重みというものが分かります。

歴史に興味がある人は、定説の重みを感じる為にも、一度読まれると良いでしょう。

ただ、それでも私は「トンデモ」的な歴史解釈が好きなのですが…。


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2014年02月04日

『「考える力」をつける本: 本・ニュースの読み方から情報整理、発想の技術まで』轡田 隆史



正直、タイトルに偽りあり、という内容でした。

本書に書かれているのは、「考える力」ではなく、広く知識を増やす心がけと、文章を上手くなるためにはたくさん読みなさい、ということと、著者が如何に大量の蔵書を持っているか、という自慢話でした。

確かに朝日新聞の記者であり、社説を執筆してきた論説委員であるだけのことはあり、文章は巧みです。

しかし書かれている内容は当たり前の事であり、その平凡すぎる結論に対する牽強付会もしくは権威付けの為に、大量の引用が行われており、それこそ著者自身の「考える力」が発揮されていないばかりか、引用で紙面が埋められてしまっている本になっています。

そしてその大量の引用が、大量の蔵書自慢に感じられる程に乱用気味であるところが嫌みに感じられます。

また、隙さえ有ればマスゴミの代表とまで言われている朝日新聞を評価し宣伝し、購読することを勧めている部分も嫌らしいですね。

その当たりに、所詮朝日新聞の記者か、という失望感を抱いてしまいました。

帯で「アタマというのは、こう使うものだ」と推薦している白取春彦氏は、まるで詐欺師の共犯者です。

大量の蔵書から大量に引用すれば、本一冊が書けるという意味では勉強になりましたが。


posted by しげぞう at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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