特に著名人へのインタビューを中心としたライティングを得意とする上阪氏が、プロの物書きが実践している文章術と、プロとしての心得について語り尽くした本です。
上阪氏の代表作は40万部を突破した『プロ論。』(徳間書店)ですが、実はゴーストライターとして数多くの著名人の本を手がけているため、執筆したベストセラー(10万部超え)作品は数知れずということだそうです。
圧巻なのは、これまで取材した著名人は3,000人と言いますから、上阪氏に取材されたことがないと、著名人ではない、くらいのブランドがあります。
その上阪氏が文章術について執筆して欲しいと頼まれたのですが、彼は考えた結果、自分にあるのは『技術論』ではなく『プロとしての心得』だ、ということで本書を執筆したそうです。
確かに全体と通して、プロの物書きという以上に、プロの仕事人とはどう有るべきか、というテーマが満載で、非常に充実した内容になっています。
勿論、取材のノウハウや記事を効率良くまとめていくためのノウハウも惜しげも無く書かれており、この辺りに氏のプロとしての自信がうかがわれます。
すなわち、ノウハウを明らかにしたところで、ライバルは増えないだろうと。
特にプロとしての心得については、当たり前で有るにもかかわらずライター業界の人達が守れていないことが、驚きを持って書かれています。
この心得を読むことは、必ずしもライター志望者だけでなく、一般の社会人にとっても得るものが大きいと思えます。
また、氏はフリーライターの社会的地位が低く見られていることを憂えており、自分がライターの社会的地位を向上させるのだ、という使命感を持っていることが行間ににじみ出ていました。
本書はタイトルで「プロ」と書かれていますが、趣味で文章を書いている人や、仕事上で文書作成が必要とされる社会人一般の人にとっても、得ることが大きい本だと思います。
また、常に読者を意識して書いているというだけあり、非常に読みやすい文章で、一度に読める量も少なめに分割された構成となっています。そのため318ページという厚めの本ではありますが、細切れの空き時間で読めるように作られています。
自分でも本を出したり、ブログを書いたりしていますが、改めて大変勉強になった本です。
ということで、早速、上阪氏の別の本も買ってしまいました。これから読み始めます。