書店の古代史コーナーで発見して迷わず購入しました。著者の久保有政氏の著書を既に何冊か読んでいて面白かったからです。
私は単純な日ユ同祖論者ではありませんが、古代において日本にユダヤ人やユダヤの宗教や風習が入り込んだで有ろうことは信じております。
既に日本に古来から伝わる風習の多くがユダヤ人と関わりがあるという本は多く出ており、そのうちの何冊かは読んでいます。
しかし「遺伝子」レベルでの調査結果について、どこかで耳にはしていましたが、確認はしておりませんでした。
それで本書の副タイトルである「運命の遺伝子」に惹かれたわけです。
ただ、本書ではいきなり遺伝子の話には入らず、まず、日本人が中国人や韓国人と、これほど地域的に近いにもかかわらず、あまりに「似ていない」というところから語り始めています。
すると、ああ、なるほど、これほど近く、実際に漢字を始めとして様々な文化的な影響を受けながらも、確かに国民性というか民族性がかなり異質です。
そう読者が考え始めたところでようやく、「実は遺伝子レベルで見ると、日本人は隣国の中国人や韓国人とかなり異なることが分かっている」という話になります。
ですから読者は「ああ、そういうことだったのか」とすんなりと納得してしまう構成が上手いですし、読みやすいです。
Y染色体におけるDNAが「D系統」が日本人の40%に確認されていますが、この系統は中国人や韓国人にはほとんど見られません。それだけではなくこの「D系統」は世界でも珍しい系統で、日本以外で多いのはチベット方面くらいです。
ところがこの「D系統」は、遺伝子的にこれまた珍しい「E系統」と同一の先祖から分離したこと分かっています。
この「E系統」が広く分布しているのがユダヤ人だというのです。
そして本書ではさらに細かくDNAの分布と各地域や民族の関係を明らかにしたあと、日本に2系統のイスラエル人がたどり着いたことを裏付ける事実を語り始めます。
そして日本に伝わる神道がユダヤ教と原始キリスト教(メシアニック・ジュー)の影響を濃厚に残していることを解説します。
私はこの手の話を決して荒唐無稽だとは思いません。古代は国境も税関も無く、現代以上に世界の人々が自由に交流していたと考えているからです。
そして何より、遙か彼方のイスラエルの地から、極東の島国にたどり着いた人々がいたという説に、壮大なロマンを感じるのです。
ですからページをめくる度にわくわくしました。
これからもこの手の話を楽しみたいと考えております。