今回紹介する『最高の自分で最高の相手をつかまえる!』は、本来婚活中の女性が対象読者ですから、私の様なオッサンが読む機会はない本です。
ところが著者である松尾和枝さんにお会いする機会があり、ご本人から直接手渡しで著書を頂くことになりました。
ああ、サインももらっておくべきだった、と後悔したのは著者と分かれてエレベーターに乗った直後のことです。
「結婚したがっている独身女性がいたらこの本を紹介して頂けると嬉しいです」
著書を受け取る際に松尾さんから言われた瞬間、何人かの知り合いの独身女性が頭に浮かびました。
──そうだ、彼女達にこの本を教えて上げよう。
しかし自宅までの帰り道で冷静に想像してみると、それは非常にリスキーな行為であると思い至りました。
私の様なオッサンが、歳下の独身女性にこの本を薦めたらどういう状況になるでしょうか?
下手したら、何処の男性議員が女性議員に「そろそろ結婚したらどうだ?」と発言したことと同様に思われ、悪くするとセクハラだと訴えられてしまうかもしれません。
──くわばらくわばら…。
結局、せっかく頂いた本書を、知り合いの独身女性たちに紹介する勇気を持てなかったのです。そう、かなり小さい男なのです。
それと、もう一つ私には偏見が生じていました。それは、著者の松尾さんが、外見も可愛らしくて表情もとてもチャーミングな女性であったことです。テレビでも活躍されているせいか、華やかさもまとわれています。さすが元JALのCAさんです。
「こんな容姿に恵まれた爽やかな女性が、結婚できない女性の苦労など分かるはずがないだろうに…」
そう、思ったのです。
ところが、頂いた本を読み出すと、すぐに私の偏見は氷解しました。
そう、美人で魅力的だからこそ、あまたの男達と出会う機会を持つ事ができ、その結果、男を見る心眼を養い、男の気持ちを読み取るスキルを磨き上げることができたのだと。
なんと累計3,000人以上の男性と合コンしたのだそうです。これは侮れません。
それで、さらに著書を読み進めてみる気になりました。
するとのっけから「愛とお金のどちらを選べば良いか?」といった露骨な問題提起から始まっているではありませんか。これは確かに現実的なジレンマです。
しかし、著者はこの問題を二次元方程式の様にすっきりと解いてみせます。
なるほど、と思いました。(ネタバレになるのでこれ以上は触れません)
その後も読み続けると、このオッサンが「そうそう、男ってそうなんだよね」と頷きながら夢中になって読んでいました。
ふと、著者がいかに男心を的確に見抜いているかが怖いほどわかり、ページをめくる手が止まることもありました。
いや、男心だけではありません。著者自身が女性でありながら、女性の心理についても実に客観的に分析して見せてくれます。まるで患者自身が自分の患部を体から取り出して、冷静に診断しているようにです。
例えば、女性が行う「女子会」の麻薬性と男運を遠ざける理由も実に論理的ですっきり分析されています。
いや、恐れ入りました。
しかも本書の優れたところは、男性の結婚観や理想の女性像が、経済状況などによって常に変化している、ということを素早くキャッチしているところです。
従って本書に書かれている婚活テクニックやマインドは、決して時代遅れの色褪せたものではありません。
著者は貪欲に最新の社会状況における男性の意識をリサーチしているのです。
本書を読めば必ず結婚できるなどといった誇大広告は書きません。
ただ、本書を読まずに男性に会うことは、武装せずに戦場に飛び出すようなものだと思えます。
ずばり、本書は婚活する女性にとっては虎の巻とも言えるでしょう。
既婚男性の一人としても、女性にお勧めできる本です。