本書は、最近対談ものが多い副島隆彦氏と佐藤優氏の対談です。対談本の難しさは、知的レベルや教養の差がありすぎても困りますし、対談者の意見が食い違いすぎてもまとまりません。かといって、全く同じ意見の二人が対談したのではおもしろみがありません。
その意味では、副島氏と佐藤氏の対談は、非常にスリリングで有りながら、それぞれが安定した知性を背景にして語っているため、刺激的な読み物となっています。
イスラム国の脅威やウクライナの政変を取り上げ、世界で起きている事が日本に及ぼす影響を語り合います。
お二人とも、テレビなどのメディアからは(政府の指示で? あるいはマスコミの自主規制で?)取り上げられない人たちですから、商業主義的なスポンサーや政府(政府だってテレビにとっては大口スポンサー)に媚びない意見を投げ合えます。
そのため、テレビや新聞からは知ることのできない情報や考え方をふんだんに味わえ、ページをめくる度に「アハ」体験できるでしょう。
例えばピケティの格差論に大衆が喜んでいることに対し、官僚独裁社会への警鐘を鳴らします。
また、インフレターゲット政策や株価操作政策に対しても、それらがどのように反知性的な政策であるかを解説します。
日頃、テレビや新聞を通して世の中を見ている人にとっては、驚きの連続かも知れません。自分が洗脳されていることに気付く機会を得られるかも知れません。
まぁ、洗脳されている方が幸せかも知れませんが。
また、私の様な物を知らない者にとっては、知性以前に知識や教養がなければ世の中でおきている事を理解出来るはずがないということを、厳しく思い知らさせてくれる本です。