2011年01月29日

『日本の独立』植草一秀




ご存じの方は多いと思いますが、この本の著者である植草一秀氏は刑事事件で有罪判決を受けた経済学者です。著者本人はこの事件での有罪を、冤罪であると主張しています。私にはこの事件の真相はわかりません。ネット上のいろいろな情報を見ると、どうも国策捜査の臭いはします。

Wikipediaにも、植草氏がりそな銀行のインサイダー取引疑惑を調べていたことが原因であると記されており、事実、この本にもりそな銀行の疑惑については驚くべき内容が書かれており、もしかすると──という思いもよぎります。

ただ、この本を読むときは、そのような偏見を排除して読むように心がけるべきでしょう。いや、心がけなくとも、読み進める内に、そのようなことは読者にとっては些末なこと(植草氏にとっては人生を狂わせた大きな出来事でしたが)だと感じるようになります。

結論を述べますと、この本は、日本に暮らす有権者である者にとっては必読の書です。それほど重要なことが書かれています。

但し、同時にこの本を読むときは、日本の闇を垣間見る覚悟も必要になります。

その覚悟は、映画マトリックスで主人公のネオ(トーマス・A・アンダーソン)が自分の暮らす世界に違和感を感じ、モーフィアスなる人物から、世界の本当の姿を見ることができるとして渡された赤い薬を飲むときの覚悟を想像させます。その薬を飲めば、もはやマトリックスの世界を信じていた自分には戻れない、という覚悟です。

その代わり、読み終えたとき、世の中(特に政治・経済・報道)で起きている事々の意味が、はっきりとした輪郭を伴って見えるようになります。

この国に経済学者や経済アナリスト、経済評論家を自称する人たちは多くおりますが、そのほとんどが財界の、あるいは政界の、あるいはマスコミの提灯学者ばかりです。あるいは論理構築力が薄弱な三流のエコノミストだと思われます。

しかし、この著者の植草一秀氏は、非常に優れた経済学者(個人的にはアナリストと呼びたい)であり、全くどのような利益団体にも媚びておりません。その意味では非常に希有の、また貴重な存在です。

また、著者の頭脳の明晰さは、本来であれば、専門的で解読が困難になりがちな高度な内容を、私の様な凡庸な頭にも腑に落ちるような平易な文章で説明できていることでしょう。

そしてこの著書に貫かれているのは、政治家や官僚たちが忘れてしまった正義であり、日本国民(特に庶民)へのあふれるばかりの慈愛です。

この本を執筆している著者の思いを行間に感じるたびに、熱い思いがこみ上げてくるのを抑えながらページをめくりました。

この国の国民は、この著書にふさわしい国民だろうか、とまで思いました。

本自体も500ページを超える厚みのある本ですが、その物理的な質量以上に、本の重みを感じざるを得ません。

米国、官僚、大資本などの洗脳と呪縛による隷属から解き放たれていない国民が暮らすこの国は、まだ独立を果たしていないのです。

ですから、この著書のタイトルは『日本の独立』なのです。




posted by しげぞう at 11:55| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この本は一人でも多くの国民に読んでもらいたいと熱く願います。
Posted by 未来は今の積み重ね at 2011年02月04日 19:10
未来は今の積み重ねさん、コメントありがとうございます。

まったくそう思います。

私は最近は、頻繁に植草一秀氏のブログ『知られざる真実』もチェックするようにしております。

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/

と、驚いたことに、上記の植草氏のブログで、私のこのブログが紹介されておりました。

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-712a.html

感動です。
Posted by 管理人 at 2011年02月04日 22:19
 『日本の独立』の物理的質量に耐えかね、とん挫しておりますが、一つ申し上げられることは、とてもわかりやすく日本の歴史を学ぶことができる著書だということです。今は、夜明け前の漆黒の闇ですね。では、もうひとつのブログも読ませていただきます。
Posted by spacelight at 2011年05月10日 12:53
spacelightさま。コメントありがとうございました。

残業中の会社でチェックしております(良くないことですが)。

この本を読んでから現在の民主党政権を改めて見ると、この国難のときにこの政権であることの不幸を感じます。
Posted by 管理人 at 2011年05月10日 19:58
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