2011年06月13日

『歴代総理の経済政策力 グランドビジョンを知れば経済がわかる』三橋貴明



田中角栄以降の歴代総理による経済政策をたどりながら、最終的には現在日本が置かれた状況まで振り返った後、さて、どうすべきでしょうか、という問いかけに持ち込みます。

各総理の経済政策を無理に同じページ数で紹介していないところが非常に良く、このことで、如何に名ばかりだった総理が多いかが一目で分かります。このあたりはある種のジョークの様にも受け取ることができそうです。

本書では田中角栄に非常に多くのページスを割いています。このことが、彼以降の総理にグランドビジョンが無かったということを示していておもしろいです。

また、現在の政治と経済政策の関係が、良くも悪くも田中角栄の頃に端を発しており、同時に、現在私たちが利用している行政上の制度の実に多くが、田中角栄の立法によるものだと言うことに、今更ながら驚かされます。

「福祉は天から降ってこない。」

著者は、この田中角栄の言葉を何度も引用し、経済政策の重要性を強調します。

そして、各総理の経済政策の効果を検証することで、インフレ期にはインフレ対策を、デフレ期にはデフレ対策を行わねばならないにもかかわらず、イデオロギーと化した緊縮財政や、マスコミに踊らされた国民の公共投資悪行イメージなどが、どれほど正しい経済政策を疎外してきたかということもわかる様に解説していきます。

また、最近の経済政策やマスコミの扇動についても所々で触れており、例えば菅直人首相などは全く理解していない、ギリシャ破綻と日本の財政状態を同じとらえ方をしている大きな誤りにも触れたりしています。そのことで、現在の菅直人政権が誤った経済政策を行い続けていることを指摘しています。

財務相が格付け会社に対して行った、日本の格付けの低さに対する抗議文などは、常日頃国内に向けて発表している内容と180度異なっていることが紹介されていますが、このあたりは著者が常日頃からネット上で何度も指摘している財務相の二枚舌の実態です。

このことを、印刷媒体に残した功績も評価したいところです。

もう一つ、現在の民主党政権が大きな過ちを犯したことは、歴代総理も繰り返し犯してきた過ちですが、デフレ下の財政緊縮政策や公共投資の削減でしょう。

デフレ時の公共投資の重要性は今なお色あせておりません。

このことについても明快に説明されており、最期は、東日本大震災後の現在、これから行うべき経済政策がどのようなものとなるべきなのか、読者が自ずと悟るように導いているところは巧みです。




posted by しげぞう at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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