非常に思い切ったテーマに挑んだ意欲作と言えます。天下の「電通」とその背後の活動を、「洗脳」という切り口からアプローチしました。
苫米地氏ほどの地位を築いた人だから挑むことができたテーマだと思えます。
まず、これが普通の芸能人や評論家であれば、出版後はテレビ業界から抹殺されてしまう可能性があります。
しかし、既にテレビからは危険人物扱いされているであろう苫米地氏は、そのようなマスメディア界からの村八分を恐れること無く、出版というメディアで現代社会に張り巡らされた「洗脳」に挑みます。
とはいえ、かなり怖い話になっているので、若干は著者の身の上を心配してしまいます。
さて、私たちは非常にテレビや新聞の影響を受けやすい存在です。特に視覚に訴えるテレビの影響は想像を絶するものがあります。
テレビで紹介された商品が、翌日のスーパーから消えてしまうほど売れ行きを上げるといったことなどは、まだかわいげがある影響と言えます。
しかし、真に恐ろしいのは、私たちが無意識にとっている行動が、実はテレビを通じたある存在による洗脳によるものだとすればどうでしょうか。
これは非常に恐ろしいことです。そして、苫米地氏は、テレビのCMのみならず、番組の内容、報道の内容までコントロールしている電通にスポットを当てます。
電通が持つ、情報操作力を暴き、さらにその背後の存在にまでメスを入れます。
恐らく、テレビに出演しているような評論家やジャーナリスト達にとっては、絶対に触れてはいけないテーマです。業界から抹殺されるからです。
序章では、日本のメディアが中立ではあり得ない構造を解説し、スポンサーを束ねることでメディアをコントロールする力を得られる構造を暴きます。
第1章では、テレビがいかに洗脳ツールとして優れているかを紹介し、これまでに行われた洗脳キャンペーンを確認していきます。
第2章では、広告代理店の奇妙な立ち位置と、この業界に君臨する電通の立ち位置について確認します。
第3章では、電通とGHQ、CIAの関係を暴き、財務諸表から分かる電通の正体を探ります。
第4章では、特にインターネットに代表される新しいメディアに対する電通の戦略を探ります。
第5章では、電通の存在の危険性を再確認し、電通を解体すべきであることを主張します。
第6章では、メディアによる洗脳から我が身を守り、さらに国民全体を洗脳から解放するにはどう行動すべきであるか、ということについて語ります。
テレビや新聞の偏向報道に違和感を覚える人にとっては、「そうだったのか!」と思える本です。
苫米地氏と出版社の勇気を讃えたいと思います。
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