本書は非常に優れたルポです。世界を動かしているのはフリーメイソンでもイルミナティでもありません。現実はファンタジーでもメルヘンでもありません。
それでは何者が世界を動かしているのか。
大資本家達で有り、グローバル企業です。
副島隆彦が言うように、世界を動かしてきたのはいつの時代も、「金のある奴だ」ということになります。
本書では、米国の格差社会をもたらしたものはな誰か、実在する犯人を突き止めていきます。
ここに、現在の日本をも蝕む新自由主義者たちが好む規制緩和、グローバリズム、自由競争、小さな政府、道州制、株主資本主義、公共事業の民営化が、今後の日本社会に何をもたらすのかということが、米国の今を見れば明らかであることに戦慄します。
特にモンサントの世界戦略が明らかになったとき、戦慄しない人はいないでしょう。そしてモンサントが推進しているのがTPPであることが分かれば、安倍内閣が参加してしまったTPPが単なる自由貿易協定に終わらないことが見えてきます。
それは、その国特有の文化や制度をも、グローバル資本主義、株主資本主義、拝金資本主義が破壊し、国民の主権を奪い取り奴隷化していく仕組みであることに気付くはずです。
第1章では、米国の食品産業が、現代の農奴制を生み出している仕組みを明らかにします。
第2章では、SFに登場するような効率最優先の食品産業がもたらす、オーガニック食品の狂気じみた舞台裏が暴かれます。
第3章では、遺伝子組み換え穀物を低コストで大量に生産するためにショック・ドクトリンが利用されているおぞましい現実が突きつけられます。
第4章では、公共サービスを民営化し、自由競争に晒すと、格差が広がる仕組みが暴かれます。
第5章では、資本家が自分たちの限りない欲望のために、政治もマスコミも金で買ってしまうと言う、米国の現実が99%の人々に絶望を与えます。
米国を見る事で、日本が何処に向かっているのかが明らかになります。
日本の将来を予感させる、恐ろしくも優れた渾身のルポです。
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