ダン・ブラウン氏の作品は必ず読む様にしておりますが、まず結論から述べますと、大変に面白かったです。
Amazonのレビューでは、期待はずれだったとか、ダンテの『神曲』は関係ないだろう、あるいは人口増加に対する対処方法が乱暴だろう、などといった批判が多いですが、やはりこれらはダン・ブラウン氏に対する期待が過剰であるためだと思われます。(実際、皆さん読んでいるわけですし)
正直、私にとっては前作の『ロスト・シンボル』の方が期待外れでした。こちらの作品は、映画の脚本としては優れていますが、小説としては今ひとつです。やはりダン・ブラウン氏は米国から飛び出した舞台でないと面白く無いのでしょうか。
ところが今作の『インフェルノ』は、こちらも確かに映画化を意識しすぎた作品にはなっているようですが、十分エンターテインメント小説として楽しめます。
ただ、事件の前提となっている人口増加問題には疑問があります。世界の頂点に立つような知性が予想しているような限りない人口増加はあり得るのでしょうか。先進国では減少しています。
ただ、そんな化学的な信憑性など、エンターテインメント小説で突っ込むのは野暮というものでしょう。
とにかく伏線の多さ、騙し合い、危機と脱出の波状攻撃は、ダン・ブラウン氏の真骨頂として存分に発揮されていました。とにかくスピード感が素晴らしいです。
そして結末(ネタバレになるので書きませんが)がまた、全く予想外で、心地よい裏切りに遭いました。
本作は、観光名所を駆け巡りますので、映画化も楽しみです。噂では『ロスト・シンボル』より先に映画化されるとのこと。まさか『ロスト・シンボル』の映画化は、フリーメイソンに妨害されているとか?
さて、今回の『インフェルノ』を読むに辺り、事前に『謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』』(村松 真理子著)を読んでおいた成果ですが、ずばり効果がありました。
『インフェルノ』は、ダンテの『神曲』に関する知識が無くても楽しめるように書かれていますが、『神曲』に関する知識があると、間違いなくさらに楽しめます。
ですから、『謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』』の必要はありませんが、ダンテや『神曲』についての予備知識をいずれかの本で先に仕込んでから『インフェルノ』を読まれると、一層楽しめます。
ああ、映画化が待ち遠しい。
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