単行本で300ページを超える厚みのある本です。
福島第一原子力発電所の事故直後、様々なニュースから「原発は恐ろしい」と感じ、しばらくはブログでも原発を無くすべきであると言う記事を投稿していました。
しかし、記事を書くためにいろいろと調べるほど、「はて、本当に脱原発は正しいのか?」と疑問に思わざるを得ない情報が出てくるのです。
そのため、私のブログでもだんだんと脱原発色が薄れ、逆に原発は必要だと考えるように変わってきました。
本書は、私の様に、脱原発運動に少しでも疑問を持たれた方には、モヤモヤとした霧を一気に晴らしてくれる本となります。
著者の三橋貴明氏は徹底的に客観的な情報と現実を分析調査し、現在の日本国民の多くが陥っている電力に関する都市伝説を打ち砕いてくれます。
そのため、本書ではまず、マスコミの情報操作からの洗脳を解くために、かなり基礎的な電力関連知識の解説から始められます。
その知識を得た上で、「脱原発」論者達の主張が、ますます日本国民を危険にさらし、国家経済を弱体化させるという構造について、それこそ渾身の筆力をもって説明していきます。
私たちは、再生可能エネルギー政策の欺瞞や、電力自由化の陥穽に気付かなければなりません。
世論ほど当てにならないものはない、ということを、今回も三橋氏に気付かされました。
本書執筆に辺り、著者は日本中の原発を取材しておりますが、そのバイタリティにも敬服します。(当方も取材で原子力開発に係わる関係者の何人かにお話しを伺いましたが、彼らの日々の努力と研鑽には敬服しました)
なお、後書きは気鋭の評論家である中野剛志氏で、この後書き『「三橋貴明」試論」も読み応えがあります。
日本の電力政策が危機に陥っていることを知るためには必読の書ですが、脱原発論者にこそ、本書に反論するために読んで欲しい一冊です。
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