既にシリーズ化している手嶋龍一氏と佐藤優氏の国際情勢を語り合う対談ものです。
私は基本的に対談物はあまり好まないのですが、このシリーズは楽しみにしております。
両氏の対談を読むと、現在の国際情勢が見えてくる、といったレベルでは無く、余りに自分が無知で洞察力のかけらも備えていないことに悲しくはなるのですが、同時にマスコミの洞察力もどうよ、と気付かせてくれます。
今回はウクライナ問題が、一地域の問題では無いことを解説することから始まり、やはり現在話題のイスラム国と近代国家の違いや米・イランの関係への影響について語り合います。
その後、東アジアの現状がいかに危険なパワーゲームにあるかを語り合い、その下地を作った後で、集団的自衛権について考察します。
特に、同盟関係が戦争をもたらすという因果関係には、はっとさせられました。
最後の章ではインテリジェンスのあり方について語り合うのですが、印象的な対話があります。
手嶋:国家のインテリジェンスが携わる者が決して忘れてはいけないものとは何かを話し合ってみましょう。
佐藤:ひとことでお答えします。それは「愛国心」です。
私は感動しました。国家権力によって無実の罪(だと思う)で逮捕された佐藤氏が「愛国心」を語ることの重みに感じ入ったのです。
そして、佐藤氏が逮捕されたとき、ロシアやイスラエル、韓国他からインテリジェンス・オフィサーとしてスカウトされたという裏話とその引き抜きで提示される相場についての話しも興味深いです。
そして毎度のことですが、両氏の対談を読む度に、現在を知るにはどれほどの歴史に関する教養が必要であるか、ということを思い知らされます。
また、政治や経済、地政学だけでなく、宗教に対する教養も無ければ、多様な文化と利害関係が絡み合っている国際情勢を読み解くことは無理だなぁ、と思わされます。
インテリジェンスを持ち合わせていない私としては、既に次の対談が楽しみになっています。
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