聖徳太子にキリスト教の影響があるのではないか、ということは以前から言われていましたが、学会ではこのテーマを深掘りすることはタブーのようです。
そのため、歴史家から聖徳太子とキリスト教を関連づける書は出されていませんでした。
聖徳太子もイエスも、馬屋で生まれたこと。両者とも王家の血を引いていながら悲劇的な最期を遂げていること。子孫を残していないこと。共に大工の信仰が厚いこと。共に未来を予言(預言)したこと。
これらの謎に挑んだのは、日本古代にユダヤ教や原始キリスト教が入り込んでいたことを研究し続けてきた久保有政氏でした。
私は氏のファンであり、氏の著書は既に何冊か読んでいましたので、本書には既著と重複する話も多く出てきましたが、テーマが聖徳太子ということでしたので、新鮮な気持ちで読めました。
まず、衝撃的だったのは、聖徳太子は本当に仏教徒だったのか、という疑問を提示していることです。そして、数々の傍証から、太子が実は何らかの一神教を信仰していた可能性が高い、という疑惑を浮き上がらせていることです。
次に、太子に寄り添うように存在していた秦氏の正体を、古代神道の正体と共に明らかにしていきます。その神道には、明らかに原始キリスト教の影響が見られるのです。
また、太子の死後の扱いにも注目します。何故、王家の血を濃く引いた太子が、当時のしきたりだった殯(もがり)もされずに即効で埋葬されたのか。そこに暗殺の可能性を探ります。
そして太子由来の寺社仏閣に隠されたキリスト教の痕跡や、地名に隠された謎が解かれます。
さらに日本神話の系図と旧約聖書の類似性も興味深く説明されています。
また、仏教界が聖徳太子を仏教の立役者であるとでっち上げた可能性と、その虚像が日本人に刷り込まれてしまった可能性に関する説明は、とても説得力があります。
聖徳太子ってなんだか良く分からない、あるいは法隆寺や四天王寺ってなんだか怪しい、などと思っている人には是非読んで欲しい本です。
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