2014年05月07日

『知の武装: 救国のインテリジェンス』手嶋 龍一, 佐藤 優



本書は手嶋龍一氏と佐藤優氏の対談集です。

テーマは国家の運営に必要なインテリジェンス、すなわち情報を分析する能力についてですが、まず前書きで手嶋龍一氏が定義している文章を引用します。

「インテリジェンスとは、国家の舵取りを委ねられた指導者がその命運を賭けて下す決断の拠り所となる情報を意味する」

鋭利な刃物を定義するような文章です。

そして本書では、このインテリジェンスの具体例として、彼らが対談しながら現在の国際情勢を、僅かな情報を頼りに深読みしてみせるという試みで示していきます。

二人の情報の扱い方は実に大胆かつデリケートです。おお、そんなところまで深読みするのか、と興奮しながら読み進められました。

但し、全ての分析に賛同は出来ませんでした。例えばTPPや沖縄の米軍基地移転問題に対する彼らの読みは少々納得出来ないところが有りました。

しかし、第一章の冒頭から2020年の東京オリンピック決定に至る背景の分析には驚かされましたし、第二章で2013年5月14日に北朝鮮を飯島勲内閣官房参与が訪れたことについて、数枚の写真から実に多くの情報を引き出して見せるところは名探偵の推理が語られている様な快感がありました。

それらの写真は、私などが見れば何の変哲もない新聞紙面に掲載された写真ですが、手嶋氏と佐藤氏にかかるとこれほど多くの情報が読み取れるのかと驚きます。

第三章ではスノーデン元CIA職員、第四章では尖閣問題、第五章ではTPPと、具体的な問題の深層を実際に二人が読み解いて見せます。

そして第六章から八章までは、インテリジェンスが国際社会で国家を運営するためにどれほど必要で、日本の現状はどうであるか、ということが語られます。

ただ、第六章ではインテリジェンスが学んで身に付けられるものではないという残念な結論を突きつけられます。まず、佐藤氏が言います。

「それは理屈で捉えられるものじゃないが、天才の直感によってなら捉えられる」

それを受けて手嶋氏も言います。

「インテリジェンスは、情報機関の研修所で教科書を使って教えられるようなものじゃない」

だからインテリジェンス・オフィサーは養成するのではなく、発見する必要があるという結論になります。

当然、凡人(以下)の私が本書を読んでも、インテリジェンスの技能は寸分たりとも向上しません。

それでも、本書を読んで、インテリジェンスのなんたるかが少しでも分かれば、世界の見え方が変わってきそうな気がしました。


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2014年05月06日

『ゆかいな仏教』橋爪大三郎, 大澤真幸



出版社は異なりますが、本対談は前著『ふしぎなキリスト教』と同じコンビによるものです。

対談形式も雰囲気も前著と同様ですが、流石に仏教は難解であるため、対談の内容も一筋縄でいかず、前著以上に屁理屈のこね回し合戦の様相を呈しています。

とはいえ、その理屈をこね回すこと自体を対談者達が楽しんでいるため、読んでいるこちらも難解な仏教を楽しみながら考える事になります。

既にAmazonのレビューでは、自称もしくは自認仏教専門家たちから、あからさまな批判を受けていますが、仏教的には彼らの批判もまた「分かっていないなぁ」ということになるでしょう。

何せ仏陀の教えが分かったときには成仏しているわけですから。これすなわち悟りですね。

仏教なんぞ、寺の坊主ども──失礼、僧侶たちでさえ、分からないわけで、釈迦自信がそれこそ気の遠くなる長期間(輪廻転生を含む)で修行しているわけです(とまで伝えられるほど、悟りは遙か彼方)。

ですから、仏教を語るには、「分かった気がする」レベルでよいのではないか、と私などは暴言を吐いてみたくなります。

本書では、仏教の始まりを、釈迦が生きたインドの社会背景から辿っていきますので、初心者にも非常にとっかかり易いのではないでしょうか。

いきなり哲学的な考察は難しすぎますから、まずは釈迦が仏教を唱えたくなった背景を知ることは、良い対談の始め方だと思います。

そして葬式仏教に馴染みすぎてしまった我々のために、まず初期仏教(所謂小乗仏教や原始仏教)の考え方を確認します(あるいは推測します)。

その上で、大乗仏教が生まれた必然性と仏教が普遍宗教となった経緯が考察されます。

その延長で、最も新しい仏教である密教が、果たして仏教と言えるのかどうかということも含めて、その教義について考察します。

最終章の「結び いま、仏教を考える」では、現在の国際社会で仏教を再考察してみる意義について述べられていますが、ここでは仏教の4つの特徴に意義が有るとしており、それが面白い終わり方になっています。

その4つとは、「個人主義的」「自由主義的」「合理的」「理想主義的」です。

仏教的な視点から世界を見ると、確かに面白いはずです。

とにかく、仏教という難解な宗教を、確かに「ゆかいな」対談を楽しみながら「理解できそうな気になれる」本です。


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『呆韓論』室谷克実



出版社は異なりますが、前作『悪韓論』の続編と言っても良い著書です。また同じ様な事が書いて有るのだろうと思いつつも、つい買ってしまいました。我ながら流行に弱いのか?

そして実際に前作『悪韓論』と基本的には同様の韓国感が書かれているのですが、本作は前作以上に著者の韓国経験が活かされた内容になっているように感じました。

ボリュームもアップし、改めて韓国のまさに「呆れた」実態を思い知らされる事になります。

と同時に、あの幼稚で下品な振る舞いがどのような経緯で行われているのか、前著以上に分かり易く書かれているように感じます。

それにしても、前著『悪韓論』であれだけ韓国の奇天烈さが明らかにされたにも関わらず、本書でも全くネタ切れ感がないばかりか、まだまだいくらでも奇天烈な事実が出てくるところこそ、まさに『呆韓論』のタイトル通りの国であることに、改めて呆れてしまいます。

日本を蔑むことで優越感に浸って居なければいられない彼らは、そのためならば平然と歴史を捏造し、世界に誇れる文化が無いが為に、他国の優れた文化を片っ端から韓国が発祥だと呆れた嘘をつき、買春大国でありながら何故か性犯罪大国でも有り、韓国にとって悪い事があれば、全て日本のせいにする。

韓国の呆れた実情を上げ出すと切りが無いので、以下に章タイトルだけ紹介しました。

韓国って、どうしてあんなにイカレタ国なの? と常々思われている方は、本書『呆韓論』や前作の『悪韓論』を読まれると、実は知っていた以上にイカレタ国であることがわかり、さらに呆れることになります。

以下、章タイトルです。

──
はじめに
序章 妄想と非常識に巻き込まれた日本
第1章 「自由と民主主義」の価値を同じくしない国
第2章 恥を知らない国際非常識国家
第3章 反日ならすぐにバレる嘘でも吐く
第4章 世界から軽蔑される哀れな反日病
第5章 歪みだらけのオンリー・イン・コリア
第6章 呆れかえるウリジナルの暴走
第7章 本当に恐ろしい人間差別大国
第8章 「売春輸出大国」の鉄面皮
第9章 わかりあえない不衛生・不法・不道徳
第1 0章 反撃の種「対馬」の仕込み方
終章 官邸、皇居の耳目役への警鐘
おわりに
──


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『調べる技術・書く技術』野村 進



前回2冊続けてゴーストライター(ご本人はブックライターという名称を提唱)の上阪徹氏のライターとしてのノウハウや考え方について読み、大変面白く為にもなったという満足感があったのですが、同氏の仕事はとにかく著名人に会って、話を聞いて本にまとめるという、かなり狭い範囲のゴーストライターを対象にした内容でした。

そこで今度は、ルポライターという、とにかく資料を調べ、人に会い、現場に行き、そして集めた情報を記事にまとめるという、より多くの技術を必要とする仕事についての技術についてまとめた著書が読みたくなり、野村進氏の『調べる技術・書く技術』を読んでみました。

結果、これまた非常に満足しました。ルポライターの大変さがわかると同時に、それを乗り越える好奇心とプロ根性、そして情報収集能力と技術に驚嘆しました。

本書は大変に読みやすい文章の見本でもありますが、惜しげも無く紹介されているルポライターの現実とノウハウは、当たり前ですが、ベテランのルポライターでなければ書けない凄みのある内容となっています。

しかし本書に書かれている情報収集術と記事にまとめる技術は、一般人にも役に立つと思われます。

また、一次情報に接することの重要性と難しさについても改めて教えられました。

本書の読みやすさは、章タイトルを見るだけでも分かります。章タイトルが、そのままルポライターの実践すべき手順になっているからです。

 第一章 テーマを決める
 第二章 資料を集める
 第三章 人に会う
 第四章 話を聞く
 第五章 原稿を書く
 第六章 人物を書く
 第七章 事件を書く
 第八章 体験を書く

そして著者がルポライターを続けてきたことで得られたことが最後に記されています。

その本文の最後の文章が感動的でした。ネタバレにならないように、本当に最後の一文だけ紹介します。

「この仕事を四半世紀も続けてきて、ひとまずたどりついた結論は、自分でも拍子抜けするほどシンプルなものであった。」

どのような結論であったかは、本書を頭からお読みいただけると納得できます。私は感銘を受けました。

ルポライターを目指さなくとも、文章を書くことがある人にはお勧めしたい本です。


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2014年03月13日

『ビットコイン事件簿──事件から見る仮想通貨の姿』[Kindle版]加来 秀一 (著)



Kindleストアより、拙電子書籍が発売開始されましたので紹介させていただきます。

『ビットコイン事件簿──事件から見る仮想通貨の姿』

2014年に入ってから社会現象化した仮想通貨ビットコインに関する事件を辿ることで、ビットコインとはどのようなモノなのかを探ろうとした内容です。

よろしくお願いします。


──以下、Amazon紹介文より──

2014年2月28日。東京にあるビットコイン(Bitcoin)取引所大手のマウント・ゴックス(Mt. Gox)が、東京地裁に民事再生法の適用を申請し受理された。

 この事件が世界中で報道されると、それまで一部のITオタクや仮想通貨マニア、あるいは新しいもの好きな投機家や無政府主義者たちを中心にしか知られていなかったビットコインが、多くの人達に注目され、各国の政府すら無視できない存在となった。あるいは脅威となった。

 ビットコインとは何か。仮想通貨とは何か──。

 形の無い仮想通貨ビットコイン。その姿は、事件を辿ることで見えてくるだろうか…。


【目次】

はじめに
 ビットコインは見えるか
 プロローグ──七億円を捨てた男

ビットコインが踊り出す
 ビットコインとは何か
 ビットコイン発掘に悪用される攻撃
 ビットコインが違法取引に使用され、押収された
 ビットコイン番付は困難

ビットコインの影で暗躍する者たち
 ビットコインの取引履歴を隠してしまうダーク・ウォレットのリリースが近い
 ビットコインを発掘するマルウェアがばらまかれたYahoo広告
 ビットコインを資金洗浄に利用した二人を訴追。二五年から三〇年の禁固刑か
 ビットコインに規制 ニューヨーク州で米国初

広がり続けるビットコイン
 ビットコインのトレーダーという職業
 アリババ、ビットコイン禁止 中国での規制状況
 ビットコインに続く仮想通貨のゴールドラッシュ
 ビットコインがいよいよスポーツ業界へ

ビットコインの普及とトラブル
 お年玉はビットコイン 香港で道行く人にビットコイン配る
 米アップルがビットコインアプリのBlockchainを取扱停止に
 ビットコイン急落 マウント・ゴックスが換金と引き出し停止
 ビットコインを使えるカジノホテル登場 でもカジノではまだ使えない

ビットコインは安全か
 インドネシア、ロシアと続けてビットコインを非合法化
 ビットコインがサイバー攻撃で取引停止
 ビットコインが持ち逃げされた シルクロード2.0のスタッフが犯人か?
 ビットコインのオフライン保管サービスが登場した しかも保険付きで

揺さぶられるマウント・ゴックス
 米国で初と成るビットコインATMが開設される
 マウント・ゴックスのCEOマルク・カルプレスがビットコイン財団の理事を辞任
 ビットコインを不正入手するウィルス「ポニー」
 マウント・ゴックスが夜逃げしたのか? ビットコインの最大取引所停止で約三七五億円消滅か

マウント・ゴックス破綻の前兆
 マウント・ゴックスの取引停止について、必要なら対応検討すると財務副大臣
 マウント・ゴックスのサイトにマルク・カルプレスCEOから「まだ日本にいる…」
 「東京ビットコイン会議」参加者の失望と期待
 シンガポールにビットコインの交換機設置される

危険視される仮想通貨
 米議員がビットコインを「危険な通貨」と規制強化求める
 イエレン議長、FRBにはビットコインを監督する権限はない 議会が検討すべき
 麻生財務相「破綻すると思っていた」ビットコイン問題で省庁集め実態把握に
 ビットコインでのマネーロンダリングは州法違反になるのか 弁護士が異議有り

マウント・ゴックスの破綻
 マウント・ゴックス破綻 民事再生法が受理される
 マウント・ゴックスに対して、米で集団訴訟の可能性
 専門家が指摘するマウント・ゴックス側の過失
 ビットコインの規制を歓迎するユーザーたち

失われるビットコイン
 ビットコインで約三億七七〇〇万円の評価損を出した米投資会社
 海外のビットコイン取引業者もサイバー攻撃を受け、取引停止
 政府、ビットコインに対する見解固める ビットコインは「モノ」
 ウィンクルボス兄弟がビットコインで宇宙旅行を予約

政府の見解
 ビットコイン取引所のCEOが不審死
 ビットコインの生みの親「中本哲史」接触! ニューズウィーク誌スクープ
 ビットコインは通貨では無い 政府見解決定
 本物のサトシ・ナカモト登場?

後書き



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2014年03月04日

『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法』上阪徹



前回読んだ『書いて生きていく プロ文章論』が大変面白かったので、引き続き同じ著者である上阪徹氏の著書を読みました。

Amazonのレビューでは酷評と絶賛が半々となっておりましたが、私の評価は高く付けさせていただきます。

酷評している人の指摘は、自慢話ばかりで肝心のノウハウが書かれていない、ということと、文章が下手ということですが、彼らはいったい何を読んだのでしょうか。

確かに冒頭で著者が「ブックライター」という職業のおかげで同年代のサラリーマンの数倍の収入(15年で4億円以上の売り上げ)を得ていることや、高級住宅街に住んでいること、外車を2台所有し、取材時のスーツはアルマーニで有ることなどが述べられていますが、これらは著者がいかにハードワークに耐え、信頼を勝ち取り、仕事の効率を高める工夫を怠らず、品質の高い仕事をキープしてきたかということの結果でしかないことがきちんと書かれています。

つまり著者は、「ゴーストライター」の社会的地位を高めるために「ブックライター」という職業名を提唱していることからも、まずは本としてキャッチーな分かり易い成功談から書き始めたに過ぎません。

しかも「ノウハウがない」と批判している人は冒頭の著者の生活振りに嫉妬してしまったためか、その後しっかりと高品質の本を大量に効率良く執筆し続ける著者のノウハウがぎっしりと詰まっていることに気付かなかったのでしょうか。

本でなくとも、ビジネス文書にも十分役立つノウハウがてんこ盛りの本です。いや、仕事術の本としても役立ちます。

また「文章が下手」という批判をしている方にも、この本の読みやすさ、分かり易さに接しながら、どうしたら下手だと感じたのかさっぱり理解出来ません。

本書の文章は、流石ベストセラーライターの文章と感じさせるには十分過ぎるほど、読者の目線で分かり易い工夫がされています。

さて、著者が「ゴーストライター」ではなく「ブックライター」であると主張しているのは、あくまで著者はコンテンツを持っている人(この場合、取材を受けた側の人)であり、自分はそのコンテンツを本に印刷できる文章として引き出したに過ぎないからだ、と述べています。

従って、ブックライターの使命と社会的な存在意義は、せっかく社会に役立つコンテンツ(経験、情報、ノウハウ、人生観など)を持っていながら、(技術的に、あるいはスケジュール的に)文章が書けない、という理由で、世の人々の役に立つコンテンツが世の中に出ずに終わらせてしまう人(著名人など)から、コンテンツを引き出して読める形にすることだ、と著者は主張しているのです。

ですから、「ゴーストライター」といった後ろ暗い職業名は辞めるべきであるし、実は実入りの良い仕事であることも世間に公開することで、若い人達に夢を持って欲しいとして執筆したことが良く分かる本です。

ただ、上阪氏は、非常に取材能力に長けている人だと思いますので、誰でも「ブックライター」になれば儲かるとは思えません。

上阪氏が特別に出版業界から信頼・評価されているのは、常に半年先まで執筆予約が埋まってしまっていることからも分かります。

しかも上阪氏はこの仕事を始めてから営業をしたことは一切無いと言います。

それでも上阪氏がただ者ではないのは、どんなに仕事を依頼されても、徹夜はしない、土日は休む、年に2回は家族と海外旅行に出かける、というライフスタイルを維持していることでしょう。

結局、文章を書く上でのノウハウが満載の本ではありましたが、どうしても著者個人の才能が、売れっ子であることの最も大きな理由ではないかと思えてしまう読後感は残りました。

とはいえ、結論としては、文章を書く人には自信を持ってお勧めできる本です。

私には、大変勉強になりました。


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2014年02月14日

『書いて生きていく プロ文章論』上阪 徹



特に著名人へのインタビューを中心としたライティングを得意とする上阪氏が、プロの物書きが実践している文章術と、プロとしての心得について語り尽くした本です。

上阪氏の代表作は40万部を突破した『プロ論。』(徳間書店)ですが、実はゴーストライターとして数多くの著名人の本を手がけているため、執筆したベストセラー(10万部超え)作品は数知れずということだそうです。

圧巻なのは、これまで取材した著名人は3,000人と言いますから、上阪氏に取材されたことがないと、著名人ではない、くらいのブランドがあります。

その上阪氏が文章術について執筆して欲しいと頼まれたのですが、彼は考えた結果、自分にあるのは『技術論』ではなく『プロとしての心得』だ、ということで本書を執筆したそうです。

確かに全体と通して、プロの物書きという以上に、プロの仕事人とはどう有るべきか、というテーマが満載で、非常に充実した内容になっています。

勿論、取材のノウハウや記事を効率良くまとめていくためのノウハウも惜しげも無く書かれており、この辺りに氏のプロとしての自信がうかがわれます。

すなわち、ノウハウを明らかにしたところで、ライバルは増えないだろうと。

特にプロとしての心得については、当たり前で有るにもかかわらずライター業界の人達が守れていないことが、驚きを持って書かれています。

この心得を読むことは、必ずしもライター志望者だけでなく、一般の社会人にとっても得るものが大きいと思えます。

また、氏はフリーライターの社会的地位が低く見られていることを憂えており、自分がライターの社会的地位を向上させるのだ、という使命感を持っていることが行間ににじみ出ていました。

本書はタイトルで「プロ」と書かれていますが、趣味で文章を書いている人や、仕事上で文書作成が必要とされる社会人一般の人にとっても、得ることが大きい本だと思います。

また、常に読者を意識して書いているというだけあり、非常に読みやすい文章で、一度に読める量も少なめに分割された構成となっています。そのため318ページという厚めの本ではありますが、細切れの空き時間で読めるように作られています。

自分でも本を出したり、ブログを書いたりしていますが、改めて大変勉強になった本です。

ということで、早速、上阪氏の別の本も買ってしまいました。これから読み始めます。


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2014年02月06日

『歴史をつかむ技法』山本 博文



歴史的思考力とは何か、ということを、具体的な歴史考証の手法を例に説明している本です。

著者は、私たちが授業で受けてきた歴史を否定はしませんが、「歴史知識」を覚えるだけでは「歴史的思考力」つまり歴史を把握する「技法」が身につかないと主張します。

本書では、日本の歴史を、著者みずから歴史を考証する技法を紹介しながら逐一解説していきます。

著者は東京大学史料編纂所教授という肩書き通り、現在、何気なく教えられている歴史が、如何に史料(資料)を緻密に照らし合わせてたどり着いた学説に基づいているのか、ということを説明します。

その考証の積み重ねは、正直読んでいてうんざりしてしまいます。

しかし、学者達の根気有る調査と考証が現在の主流となっている学説を打ち立ててきたことを改めて知ることで、歴史学の重みが分かります。

ぽっと出の、奇をてらった学説の方が面白いのですが、本書を読むと、一見退屈な定説の重みというものが分かります。

歴史に興味がある人は、定説の重みを感じる為にも、一度読まれると良いでしょう。

ただ、それでも私は「トンデモ」的な歴史解釈が好きなのですが…。


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2014年02月04日

『「考える力」をつける本: 本・ニュースの読み方から情報整理、発想の技術まで』轡田 隆史



正直、タイトルに偽りあり、という内容でした。

本書に書かれているのは、「考える力」ではなく、広く知識を増やす心がけと、文章を上手くなるためにはたくさん読みなさい、ということと、著者が如何に大量の蔵書を持っているか、という自慢話でした。

確かに朝日新聞の記者であり、社説を執筆してきた論説委員であるだけのことはあり、文章は巧みです。

しかし書かれている内容は当たり前の事であり、その平凡すぎる結論に対する牽強付会もしくは権威付けの為に、大量の引用が行われており、それこそ著者自身の「考える力」が発揮されていないばかりか、引用で紙面が埋められてしまっている本になっています。

そしてその大量の引用が、大量の蔵書自慢に感じられる程に乱用気味であるところが嫌みに感じられます。

また、隙さえ有ればマスゴミの代表とまで言われている朝日新聞を評価し宣伝し、購読することを勧めている部分も嫌らしいですね。

その当たりに、所詮朝日新聞の記者か、という失望感を抱いてしまいました。

帯で「アタマというのは、こう使うものだ」と推薦している白取春彦氏は、まるで詐欺師の共犯者です。

大量の蔵書から大量に引用すれば、本一冊が書けるという意味では勉強になりましたが。


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2014年01月15日

『オオカミの護符』小倉 美惠子



心が洗われる様な素晴らしい本でした。

著者は都市化されていく中で、前時代に取り残されたかのような旧家で育ったことに劣等感を持ちつつ幼少時代を過ごしますが、大人になってから自分を育ててくれた祖父母の暮らしが、実はとても貴重な暮らし方であったのではないかと気付きます。

それを気付かせてくれたのが、土蔵に張られていた一枚の護符でした。古くからその土地に暮らす人々は、その護符を「オイヌさま」と呼びます。

護符には「武蔵國 大口真神 御嶽山」という文字と共に、黒いオオカミの様な絵が版画として刷られています。

この護符は何を意味するのか、何から守ってくれているのか、そしてどこからやってきたのか。

著者はこの一枚の護符のルーツを辿る旅に出ます。

その旅で出会った人々や風習、伝統、営み、信仰に触れるにつれて、平野部の人々と山間部の人々との古くからの絆を知ります。

また、平野部の暮らしが山間部の自然と密接な関係を持っていたことも知ることになります。

そして「オイヌさま」を崇める行為が、実にいにしえからの人の暮らしを支えてきた豊かな自然に対する畏敬と畏怖と感謝の表れであることを知ることになります。

一枚の護符から、思わぬ広域にわたるフィールドワークとなり、人と自然の美しい調和が保たれていた時代への旅となります。

淡々とはしていますが、丁寧な文章で、著者の体験が綴られています。読み進める内に、自分まで山の清涼な冷気や湿度を感じさせてくれる文章です。

私は根無し草で、思い入れがある土地があるわけでもありませんし、都市型の生活様式でなければ生きていけない人間ですが、本書に描写された古く土地に根ざした暮らしぶりは、何故か懐かしく感じました。

後書きを読む頃には、涙が出そうな程、清らかな心持ちになっている自分に驚いたものです。

都市型生活に疲れた人、日々の生活がなにか地に足が付かない感じの人、大切なものを忘れたまま大人になってしまったと感じている人、日本人であることに誇りを持てなくなった人、そんな人達には是非読んで欲しい本です。

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2014年01月10日

『インフェルノ (上)(下) 』ダン・ブラウン












ダン・ブラウン氏の作品は必ず読む様にしておりますが、まず結論から述べますと、大変に面白かったです。

Amazonのレビューでは、期待はずれだったとか、ダンテの『神曲』は関係ないだろう、あるいは人口増加に対する対処方法が乱暴だろう、などといった批判が多いですが、やはりこれらはダン・ブラウン氏に対する期待が過剰であるためだと思われます。(実際、皆さん読んでいるわけですし)

正直、私にとっては前作の『ロスト・シンボル』の方が期待外れでした。こちらの作品は、映画の脚本としては優れていますが、小説としては今ひとつです。やはりダン・ブラウン氏は米国から飛び出した舞台でないと面白く無いのでしょうか。

ところが今作の『インフェルノ』は、こちらも確かに映画化を意識しすぎた作品にはなっているようですが、十分エンターテインメント小説として楽しめます。

ただ、事件の前提となっている人口増加問題には疑問があります。世界の頂点に立つような知性が予想しているような限りない人口増加はあり得るのでしょうか。先進国では減少しています。

ただ、そんな化学的な信憑性など、エンターテインメント小説で突っ込むのは野暮というものでしょう。

とにかく伏線の多さ、騙し合い、危機と脱出の波状攻撃は、ダン・ブラウン氏の真骨頂として存分に発揮されていました。とにかくスピード感が素晴らしいです。

そして結末(ネタバレになるので書きませんが)がまた、全く予想外で、心地よい裏切りに遭いました。

本作は、観光名所を駆け巡りますので、映画化も楽しみです。噂では『ロスト・シンボル』より先に映画化されるとのこと。まさか『ロスト・シンボル』の映画化は、フリーメイソンに妨害されているとか?

さて、今回の『インフェルノ』を読むに辺り、事前に『謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』』(村松 真理子著)を読んでおいた成果ですが、ずばり効果がありました。

『インフェルノ』は、ダンテの『神曲』に関する知識が無くても楽しめるように書かれていますが、『神曲』に関する知識があると、間違いなくさらに楽しめます。

ですから、『謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』』の必要はありませんが、ダンテや『神曲』についての予備知識をいずれかの本で先に仕込んでから『インフェルノ』を読まれると、一層楽しめます。

ああ、映画化が待ち遠しい。


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2014年01月06日

『隣の陰陽師 弐──怨念の共鳴』

今回は電子書籍のセルフパブリッシングの紹介です。

拙著『隣の陰陽師』シリーズ第二弾が出ましたのでおしらせします。

第二弾は『隣の陰陽師 弐──怨念の共鳴』です。



以下はAmazonに掲載している紹介文より。

────
憑きもの落としに失敗した流雲は、次に憑かれた人物を探す。
その後、都内では幼女が続けて事故死するという事件が発生する。
その頃、傀儡女(くぐつめ)の取材を行っていたライターの小栗護の元に、連続幼児事故死事件にはマスコミに発表されていない共通点があることが知らされる。
その共通点について、小栗護から相談を受けた陰陽師の豊川猛が探り当てた人物は、意外な人物だった。
やがて憑きものを追う流雲と、幼児の事故死の真相を追う豊川猛がたどり着いたのは…。

本作では、前作『隣の陰陽師──懸想橋の約束』では姿を見せなかった402号室の住人が登場し、活躍します。
────

前作で、読者の方から電子書籍で読むには(特にスマホで)長すぎる、との声をいただきましたので、今回は短めになっています。

本作だけお読みいただけるように話は完結させておりますが、前作から読んでいただくと、登場人物たちの関係がより楽しんでいただけると思います。

前作は『隣の陰陽師──懸想橋の約束』です。




よろしくお願いします。


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2013年12月24日

『謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』』村松 真理子



あからさま過ぎるのですが、本書はダン・ブラウンの新作『インフェルノ』を、より一層面白く読みたいと思って購入した本です。

そういう意味では、ダン・ブラウンの人気に便乗して本書を出した株式会社KADOKAWAの思惑に100%引っかかった私です。

勿論、私は私で、出版社の商売の思惑を分かっていて本書を購入したわけですが。

何しろ私はダン・ブラウンのファンですが、今度の新作が取り上げたダンテの『神曲』については、全く知識がありません。もう、恥ずかしいを通り越して開き直っているくらいです。

しかし、『インフェルノ』をどうせ読むなら、少しでも『神曲』の予備知識があった方がいいに違いないと思って、敢えて自ら出版社の浅はかすぎる商法に騙されてみました。

結果、読んでおいて良かったかどうかは、この後に読む『インフェルノ』を読み終えるまではわかりません。

ただ、ゼロだった『神曲』に関する知識が僅かですが増やせたことは私的には収穫でした。

とはいえ、本書の著者がいかに大急ぎでかき上げたかは後書きでも分かりますが、内容もそれほど深くはありません。

しかしそれが返って無知だった私には丁度良かったようにも感じます。元も子もない言い方ですが、別にイタリア文学を極めようなどとは思っていませんし、『神曲』を正しく理解しようとも深く味わおうとも思っていないからです。

あくまでダン・ブラウンの冒険小説を面白く読むことが目的ですから、本書の軽さは丁度良かったと思います。

大急ぎで『神曲』ってどんなものか知っておきたい、という人には丁度良い軽い解説書であると思いますが、真面目に『神曲』を味わいたい人にはお勧めできません。


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2013年12月23日

『2014年 世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機』三橋貴明



このところ読書が進まず、積ん読が増えていましたが、本書は優先して一日で読みました。

というのも、三橋貴明氏の本はこれまでポジティブな明るく希望的なタイトルが多かったのですが、今回は珍しく危機感を煽るタイトルだったからです。

ずばり本書は、金融緩和と財政出動というパッケージでデフレ脱却を目指すとして選挙に臨んだ安倍晋三首相を、著者はかなり力を入れて応援していました。

しかし後安倍晋三政権が誕生すると、実際には著者が支持していた公約はことごとく翻されてしまいます。

ですから帯には書かれています。

「変節したアベノミクスが招く悪夢のシナリオ」

いや、著者だけではありません。自民党を支持した人たちの多くが、デフレ脱却に対する政策に期待し、あるいは金融資本主義や株主資本主義、グローバル資本家たちから日本を守るとして安倍晋三首相が提言した「瑞穂の国の資本主義」を支持したはずです。

ところが首相に就任した途端に安倍内閣は、TPP、消費税増税、規制緩和といった真逆の制作を打ち出します。

これではデフレ脱却は愚か、日本の主権や国益をグローバル資本家達に売り渡しかねません。

いったい何が安倍晋三首相を変節させたのか。

著者は、ここに世界の経済論争が影響していることを示します。

つまりそれは、ケインズの流れを汲むデフレを総需要の不足と解釈する芸在学と、デフレは貨幣現象であるとするフリードマンの流れを汲む新古典派経済学の論争なのだと。

そして現在は、残念ながら新古典派経済学(というより宗教だと思うが)が、世界を席巻してしまいました。

そして安倍内閣も、いつの間にか忍び込んだ竹中平蔵のような新古典派経済学者であり政商(彼はパソナグループ取締役会長)でもある人物や、楽天の三木谷浩史の様な国家よりも商いを優先する亡国の徒にミスリードされるようになってしまいました。しかも彼らは選挙で選ばれたわけでもない、民意と無関係な者たちです。つまり、政商です。

この状況に、さすがの三橋貴明氏も、大きな危機感を持たれたわけです。

そして本書では、陰謀論など全く無視してきた三橋氏ですが、いよいよ世界を動かしている者たちの存在を無視できなくなってきた状況が分かります。

世界を動かしているのは誰か。既に副島隆彦氏などは多くの著書で名指ししていますが、三橋氏もその存在を明確にしかけているようです。。

第一章では、消費税増税に踏み切るなど、変節したアベノミクスがどれほど致命的な政策ミスとなるのかを解説します。

第二章では、安倍晋三が目指している政策は、売国的行為であることを解説します。

第三章では、アメリカに迫りつつある大きな危機について解説します。

第四章では、ドイツの凋落とユーロの崩壊を予想します。

第五章では、韓国のデフレと中国のバブル崩壊を予想します。

第六章では、世界と日本に仕掛けられたある勢力たちの罠を浮き上がらせます。

第七章では、いよいよ日本の国民を守る最後の戦いが始まったことが告げられます。

三橋氏がこれまでとは異なり、大きな危機感と使命感を持ってかき上げた本書は、単に経済政策への提言ではなく、民主主義の危機をも訴えています。

できるだけ多くの日本人に本書を読んで欲しいと願っております。


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2013年11月21日

『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』内山節



タイトルから民俗学的な想像がされてしまいますが、実は本書は新たな「歴史」の考察方法を提唱している本です。

その歴史とは、通常の歴史からは漏れ落ちてしまった、あるいは経済や社会制度上の事件にばかり目を奪われている内に見失ってしまった歴史です。

精神史といえば近いかもしれません。

著者は奇妙な現象に目を留めます。それは、1965年を境に、人がキツネや狸、狢やイタチたちに騙されたという話が消えてしまったことにです。

一体1965年に何があったのか。

そして、私たち日本人がキツネたちに騙されなくなったというのは、どのような変化が起きていたのか。

それを考察している実に興味深い本です。

そして、私たちがキツネたちに騙されなくなった原因を辿るプロセスにおいて、「歴史」とは何かという哲学的な考察にまで進みます。

非常に読みやすい文章で、郷愁をそそる歴史哲学書です。

第1章では、キツネに騙される話が紹介されます。

第2章では、1965年に何が起きたのかを探ります。

第3章では、キツネに騙されるためには、騙される人の側にもある能力が必要なのだと述べ、その能力が失われる理由を探ります。

第4章では、歴史哲学が対象とする歴史とはどのようなものなのかを確認します。

第5章では、さらに歴史哲学について掘り下げていきます。

第6章では、キツネたちに騙されなくなった人間が失った豊かな自然観や歴史観について、結論を出します。


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『北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか』惠谷 治



本書のカバーに巻かれた帯に、

「北朝鮮国民も必読の1冊」

と書かれているのはブラック・ユーモアでしょうか。

北朝鮮関係の本は多く出ていますが、本書の特徴は、タイトル通り、北朝鮮が崩壊することが前提で書かれていることです。

ただし、本書で言うところの北朝鮮の崩壊とは、金正恩政権の崩壊を示します。

そしてその崩壊のシナリオは複数用意されております。

・金正恩暗殺による政権交代
・軍事クーデターによる政権転覆
・民衆蜂起を契機とした政権崩壊
・韓国の左翼政権の再登場で「連邦制」による朝鮮統一
・中国人民解放軍の進出
・米韓軍による北進・占領

これらの可能性を検証し、著者が可能性が高いとみたシナリオについてはより具体的なシミュレーションを行ってみるという内容です。

著者は正直に、北朝鮮がこれからどのようなシナリオを辿るかの予想は困難だと述べます。それは、北朝鮮の内部状況だけでなく、それを取り巻く中国、韓国、米国などの変数もあるからです。

それでも著者が確信しているのは、金正恩政権の崩壊です。

そのことを前提に非常に多くの情報(北朝鮮有力者たちの権力構造や兵器の威力など)を集めながら、北朝鮮が崩壊していく様を予想していくところは、所謂戦争シミュレーション小説を読んでいるかのような臨場感があります。

前書きでは、どうやら金正恩が権力に目覚めたらしいことを示すシグナルを読み解くことから始まります。

第1章では、民衆蜂起の可能性を検証します。

第2章では、軍事クーデターの可能性を検証します。

第3章では、金正恩が核兵器開発に注ぐ執念を垣間見ます。

第4章では、米韓との軍事衝突の可能性を検証します。

第5章では、朝鮮半島で有事が発生した際、日本はどうするべきなのかについて考察します。

後書きでは、仮に南北が統一された際、何が起きうるのかについて暗示して終わります。

何かと目立つ隣国で有りながら、ベールに包まれた北朝鮮の現在を知るための、緊迫感のあるガイド本と言えます。


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2013年11月03日

『(株)貧困大国アメリカ』堤 未果



本書は非常に優れたルポです。世界を動かしているのはフリーメイソンでもイルミナティでもありません。現実はファンタジーでもメルヘンでもありません。

それでは何者が世界を動かしているのか。

大資本家達で有り、グローバル企業です。

副島隆彦が言うように、世界を動かしてきたのはいつの時代も、「金のある奴だ」ということになります。

本書では、米国の格差社会をもたらしたものはな誰か、実在する犯人を突き止めていきます。

ここに、現在の日本をも蝕む新自由主義者たちが好む規制緩和、グローバリズム、自由競争、小さな政府、道州制、株主資本主義、公共事業の民営化が、今後の日本社会に何をもたらすのかということが、米国の今を見れば明らかであることに戦慄します。

特にモンサントの世界戦略が明らかになったとき、戦慄しない人はいないでしょう。そしてモンサントが推進しているのがTPPであることが分かれば、安倍内閣が参加してしまったTPPが単なる自由貿易協定に終わらないことが見えてきます。

それは、その国特有の文化や制度をも、グローバル資本主義、株主資本主義、拝金資本主義が破壊し、国民の主権を奪い取り奴隷化していく仕組みであることに気付くはずです。

第1章では、米国の食品産業が、現代の農奴制を生み出している仕組みを明らかにします。

第2章では、SFに登場するような効率最優先の食品産業がもたらす、オーガニック食品の狂気じみた舞台裏が暴かれます。

第3章では、遺伝子組み換え穀物を低コストで大量に生産するためにショック・ドクトリンが利用されているおぞましい現実が突きつけられます。

第4章では、公共サービスを民営化し、自由競争に晒すと、格差が広がる仕組みが暴かれます。

第5章では、資本家が自分たちの限りない欲望のために、政治もマスコミも金で買ってしまうと言う、米国の現実が99%の人々に絶望を与えます。

米国を見る事で、日本が何処に向かっているのかが明らかになります。

日本の将来を予感させる、恐ろしくも優れた渾身のルポです。


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2013年10月05日

『韓国 反日感情の正体』黒田 勝弘



少し前に、似たテーマとして、

『悪韓論』室谷 克実
http://www.amazon.co.jp/dp/4106105160/

を読みましたが、この本に比べると今回の『韓国 反日感情の正体』はかなりマイルドな内容です。

すなわち、実際の韓国の一般国民は、韓国マスコミや知識人達ほど反日感情を持っていないという、著者の韓国で暮らして得た実感が強く主張されているからです。

街中を歩いていても、反日を実感出来ないとまで書いています。この辺りは実際に現地を視察してみないことには、にわかには信じがたいことですが、在韓30年の著者が述べるのですから、嘘だとも思えません。

それでは我々が目にし耳にするあのヒステリックなまでの韓国人の反日運動は何処に行ったのか。

それが本書には書かれています。

つまり、本書は韓国の反日感情が決して広く国民に共有されている訳では無い、ということを述べています。

以上の様に、著者は韓国が反日活動を続けることに対して、かなり同情的かつ寛大な立場を持って綴っています。

序章では、韓国の一般国民の間で反日感情が薄れていくことに焦る知識人達といった、決して反日感情が国民全体で共有されているのではない、という構図が述べられています。

第一章では、韓国では反日運動であれば、何でも許されるという風潮があり、法治国家ではなく情治国家であることが紹介されます。

第二章では、慰安婦問題が、韓国人特有の歴史観「有るべき歴史」により語られていることを解説します。

第三章では、竹島問題が、韓国にとっては、日本との疑似戦争であり、疑似独立戦争であることを論じます。

第四章では、常に日本を目標としてきた韓国が、いつまでたっても日本離れができないが故の反日感情について解説します。

第五章では、そもそも韓国が反日をはじめたきっかけは何か、また、経済事情次第で反日を休む都合の良さについて紹介します。

第六章では、韓国の歴史観が、「あった歴史」ではなく「有るべき歴史」である以上、いつまでも正しい歴検証などあり得ないし、必要とされていないことを分析します。

第七章では、韓国の経済発展や文化に、日本がいかに貢献してきたかを国民から隠し、優れたものは全て韓国起源であるとする「ウリジナル主義」について紹介します。

第八章では、韓国で本当の歴史や親日を表明することの危険と、親日を表明した韓国人が受けるバッシングについて紹介します。

第九章では、ビビンバを世界的な料理にしようと運動している韓国人の、日本料理に対する劣等感と対抗意識を見ていきます。

第十章では、東日本大震災で見せた韓国の親日支援活動は、あくまで見返りを期待して行われたと言うことを検証します。

第十一章では、同じ反日でも中国と韓国とでは質が異なり、韓国人が中国人の反日活動を見下して優越感に浸る構図を分析します。

第十二章では、反日感情や反日活動が行われる一方で、じわじわと韓国に浸透している日本の影響について検証します。

以上の様に、韓国のマスコミや政治家がヒステリックな反日的主張をしている一方、実際の国民はどうなのか、という疑問を持たれた方には、良い手引きとなる本です。


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2013年09月15日

『中国の破壊力と日本人の覚悟 なぜ怖いのか、どう立ち向かうか』富坂聰



タイトルには「中国の破壊力」と、いたずらに中国への恐怖を煽っておりますが、内容は非常に冷静に中国を分析しています。

いたずらに恐怖心を煽ることもありませんし、かといって中国の日本に与える影響を軽んじてもおりません。

まず著者は日本人にとって、何故中国が不気味なのかを分析します。その後、具体的に中国の軍事力や、共産党と軍隊の関係について解説します。

また、中国人の凶暴性が中国特有の競争原理に由来していることや、中国人の残忍さは本当なのかを確認します。

そして中国の環境問題と食品問題はどのように発生しているのか。

最後に、それでも中国に学ぶべき事は何か、日本はどのように対応すべきかについて考察していきます。

全体を通して、このやっかいな隣人である中国をテーマにしているにも関わらず、著者の語り口調は淡々としています。

それは著者の中国分析に対する自信の表れだと思われます。

第1章では、中国の怖さという印象は何に由来しているのかを分析します。

第2章では、中国人の凶暴さが、何に由来するのかを分析します。

第3章では、中国人の残酷さの実態と、その由来を分析します。

第4章では、現在中国が抱えている環境問題や食品の安全性に関する問題の解決がいかに困難であることかを説明します。

第5章では、中国の外交能力の高さを確認すると同時に、弱点を探ります。

特に鳩山元首相が、中国の外交ではなく、内政に利用されているのだ、という主張には、目を見張りました。

漠然と中国に対して恐怖を抱いている人には、お勧めの一冊です。


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2013年08月30日

『悪韓論』室谷 克実



韓国を嫌っていた人達には痛快な本です。が、著者がタイトルにしたのは「嫌韓論」ではなく、「悪韓論」です。つまり、嫌いか好きかではなく、韓国という国は「悪」なのだと、本書は堂々と述べています。

しかも、本書の見事さは、韓国の悪性を、韓国自身が報道した記事を根拠に述べているところです。つまり、韓国の自白に基づいた悪韓論だということです。

これでは韓国人自身が反論できません。

著者は余裕を持って前書きの最後に述べています。

「本書の内容に意義があるという御方は、私の典拠より高い水準のソースを基にして「良韓論」あるいは「善韓論」を執筆されるよう、お勧めする」

この挑発に、是非とも朝鮮人は受けて立って欲しいものです。まぁ、本書でも(p117)に「韓国人は息を吐くように嘘をつく」と書かれているくらいですから、嘘で固めた「善韓論」なり「良韓論」をかき上げる事くらい容易いことかもしれませんが。

私も及ばずながら加来秀一というペンネームで、

『韓国はなぜ、性犯罪大国となったか』
http://www.amazon.co.jp/dp/B00CJJ86PG/

なる著書を電子書籍で販売し、ありがたいことに多くの方々の支持をいただいている様なこともありますので、韓国の悪い部分は知っている方だと思っておりましたが、本書『悪韓論』には、完全に打ちのめされました。

これほどひどいのか、とまだまだ思わせてくれる韓国とは一体、本当に我々と同じ人類が生息しているのか、と改めて驚かされるという具合です。

韓流ファンのみならず、自分は反韓論者だ、と言う方にもお勧めです。前者は如何に韓国の国策に騙されていたかと驚愕するでしょうし、後者は、自分の知っていた韓国の悪など、本の一部だったと恥ずかしくなるでしょう。


序章では、李氏朝鮮時代からの歴史について、本書を読む上で最低限必要な知識の復習をします。しかし、ここから既に驚きの連続が始まります。

第一章では、韓流ファンの勘違いを正します。

第二章では、韓国人(というか朝鮮人)の差別意識の尋常ならざる強さについて紹介します。

第三章では、大学を出ても職が無いという失業率の高さ(公表されている失業率の嘘)と、それでもなお留学歴で虚勢を張ろうとする韓国人達の姿を紹介します。

第四章では、技術大国の嘘と、韓国人達の余りに低いモラルについて紹介します。

第五章では、韓国人は勤勉であると言う嘘と、教養の低さについて紹介します。

第六章では、嘘で外観を飾ることには情熱を注ぐという、歪んだ美意識について紹介します。

第七章では、韓国が犯罪大国であり、韓国人自らは無法者であることを恥じることも無いにもかかわらず、相手にはひたすら謝罪を要求する韓国人の驚くべき破廉恥さについて紹介します。

第八章では、韓国人の歪な金銭感覚について紹介します。

第九章では、不正や手抜きが当たり前の、韓国人の社会性と、そんな連中が原発をいじっていることの恐ろしさを紹介します。

第十章では、権力者の汚職が当たり前の国柄について紹介します。

第十一章では、買春大国である韓国が、買春インフラが世界一発展しているにもかかわらず、なおも性犯罪が絶えないという気違いじみた国民性について紹介します。

終章では、韓国が主張する「大国」の実態を嘲笑します。

とにかく、事実で驚きたい人には最適な本です。


posted by しげぞう at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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